ゆるっと広告業界

デザイナーのひねもす。

版下の記憶。

こんばんは、さじです。

 

写植で版下を手作業で作る時代を

2年ほどかすっています。

 

写植屋さんが焼いたタイトルや本文の文字組みや

手書きの挿し絵やデザインを焼き付けた印画紙を

カッターで切って台紙に貼ります。

色アミや写真を入れたい部分には

アタリケイをペンで書き、1枚の版下を作ります。

 

もちろん版下は白黒なので

色指定はカラーチャートを見ながらほぼカン。

版下に覆ったトレぺに色指定を書き込みます。

色以外にも、写真の配置も製版のお仕事でしたので

このトリミングで、とか

イエローかぶりとって、とか

ここのゴミとって、とか

プロフェッショナルな技術者さまさまのおかげで

製版を作り上げていました。

 

もちろん、クライアントの校正もありましたので

修正が入れば版下の文字を差し替え製版に伝達。

現在のDTPなら一瞬で直せる文字修正も

写植屋さん製版さんの手を借りなければ

成り立たなかったわけです。

お互い顔は見ずとも

チームで一つのものを作りあげていました。

 

現在ではそれらをすべてデザイナーが行ってしまいます。

一元化されたが為にクライアントも気軽に修正を入れるようになり

昔はせいぜい2、3校だった校正が

多い時は10校、20校まで増えてしまいました。

もちろんその都度対応はいたしますが

校を重ねるごとにデザイナーは悲しんでいます。

修正が1、2校で済むと次の依頼もがんばろう!と

心理的な優遇措置が引き起こされますので

どうぞチェックは確実にお願いします(笑)。

 

刷版の方はまだ現役で活躍されてますでしょうが

製版の方はあまりいらっしゃらないでしょうか。

フィルム出力が主流になったので

当時の版を洗う、ゴミとり、シャープネスなどの

技術は活かせなくなったかもしれません。

お世話になった写植屋さんはDTPが普及した頃に

お店をたたんで引退されたのでした。

 

文字組を調整しながらふと

おじさん元気かなあと思い出しました。

 

さじ