ゆるっと広告業界

デザイナーのひねもす。

地球にやさしいwebサイト。

こんばんは、さじです。

少し前にアクセシビリティについて紹介した記事を書きました。社会的弱者に対して優しいサイト作りを目指すべし、のような内容でしたが、こちらの記事を読んでいたら対象はそれだけではないことを知りました。

 

wired.jp

 

webサイトにおける炭素排出量について書かれています。要約すると「複雑なサイトの読み込みで発生させる炭素量を減らすことは地球に優しい」といいます。ここ数年、カーボンゼロ、カーボンネガティブなどに名乗りを上げる企業* も増えました。しかし、そもそも世の中に氾濫するwebサイトを軽くしない限り、記事中でいう「実質的に化石燃料で稼働する世界最大のマシン」** であるインターネットはカーボンを排出し続けるということが言いたいようです。

* 小久保重信氏記事参照(テック大手が目指す脱炭素化、「ニュートラル」「ゼロ」「ネガティブ」「キャプチャー」を知る(小久保重信) - 個人 - Yahoo!ニュース

**記事中より引用。Web Neutral Projectの共同創業者ジャック・アメンド氏。

 

記事ではサイトの読み込みが重くなる主な要因について、動画、画像、エフェクトを指摘していますので、以下で各項目ごとに考えました。

 

動画

現在のwebサイトにおける動画広告、動画マーケティングの比率は増え続けてきました。アマゾンやヤフーなどのショッピングサイトでも動画を用いた商品説明を目にする機会が増え、購買意欲の持ち上げだけでなくユーザーの確かなメリットにもなっています* 。しかしながら、流行りに乗った目標のない動画広告があることも確かです。

 

webサイトでは、動画の効果的な活用についての適切なアドバイスや強い説得力のあるマーケター、ディレクターの存在が不可欠ですが、動画制作の内製化傾向が強まるにつれ、先にあげた不必要な動画を「予算を使い切るため」「制作金額を上げるため」に提案する厄介な存在(上司などですね)もいます。今苦笑した方も少なからずいるのではないでしょうか。

*動画広告に対しての企業の活用実態については別記事(動画広告の活用実態調査2020年版 | テレビCM効果の可視化「サイカ アドバ」)を参考にしました。

 

画像

次に画像に関する提案を冒頭の記事内からご紹介します。通常、画像はpngやjpgを用いていますが、webサイトでのアスキーアート(AA)を用いたフォルクスワーゲンカナダの炭素低排出を目指したページは色鮮やかなサイトが氾濫する現在ではモノトーンが逆に新鮮に見えました。日本でも2ちゃんねるで流行したAAですが、使い方によってはこのような上品な美しい仕上がりになるわけですね。画像の代わりにテキスト(文字)と用い、低炭素を実現する取り組みは評価が高いのではないでしょうか。

www.vw.ca

 

また、自分も注目しているSVGファイルについての言及もありました。

JPEGPNG、GIFなどの画像フォーマットの代わりにSVG形式を選ぶことで画像サイズを小さくできますし、圧縮ツールを使えばさらに小さくなります」

(冒頭リンク記事内より引用) 

 

SVG画像は解像度による質の劣化のないベクター画像を提供できます。現在jpgやpng画像としてサイトに読み込んでいる画像をSVGデータに置き換えることでサイト自体の読み込みを速くし、結果炭素排出を減らす効果が得られるようです。SVGデータ作成の助けになるツールが今後発展していく可能性は大きいですね。

  

はてなブログSVGツールの作成にも取り組んでいるブロガーのLSSさん (id:little_strange)はいくつか既に完成されてますので、これらを用いて画像からSVGへの転換に取り組むのも低負荷が期待できます。以下のビジュアルはそのツールの一つを用いたSVGデータを読み込んだものです。「布」に見えるパターンを用い、画像の代わりにSVGコードをhtml編集画面に書き込んでいます。PNG、JPG画像に劣らない質感が表現できます。


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textile club

【CSS+SVG】タイルパターン生成ツール - Little Strange Software

 

エフェクト

記事にはエフェクトに関した具体例がないため、自分の知る範囲で続けます。サイトにおけるエフェクト効果は現在のwebサイトのトレンドです。アクセシビリティを配慮したエフェクトが評価されると、どこもかしこもエフェクトのあるサイトを作成するようになりました。その効果としてUX(ユーザーエクスペリエンス:体験の満足)をユーザーが受け取れたものの、広まるにつれて新しい体験ではなくなっていきます。

 

本来、アクセシビリティの配慮による満足とUXの満足は共存関係にあったはずですが、多用による不快感という一種の逆走を始めたことに一部のユーザーが気づきました。不快に感じる人が一定数出始めたことは今後のサイト制作で無視できないことです。現在サイトで使われているエフェクトやアニメーションはCSSJavaScriptで行われるもので画像の読み込みがなければ負荷も軽いものですが、「不快感による離脱=元サイトの再読み込み」によって閲覧スタイルの複雑化を誘引させることにもなります。誰もが不快に感じることのないエフェクトアイデアが求められていくのかもしれません。

 

 

以上が将来的にトレンドになっていくであろうwebサイトの軽量化、webサイトから考える環境に関する紹介でした。地球に優しいwebサイト作りは「情報を広く発信し受け取る」というwwwの初心に立ち返ることも地球環境に貢献する方法のひとつのようですね。

 

さじ