ゆるっと広告業界

デザイナーのひねもす。

CMの「ダサイ」は必然or天然?

こんばんは、さじです。

昼食後にテレビを見ながらまどろんでいたとある日。いつもお世話になっているアプリケーションサービスのCMが流れました。ダs、いえ、親しみのあるCMです。学生さんに向けたもののようでしたが、今の子たちは目が肥えてるからもう少し遊びのある映像でクリエイティブの企業らしさを出したら良いのにね、と大学生の息子にこぼしたら「Pinterestもそうだったよね」と二人でCM談義が始まりました。ちなみに二人とも素人です。ま、それは置いといて。

BtoB(ビジネスtoビジネス)の場合、企業が企業に向けてCMを打つのでコンセプトを曖昧にしているものが多いように思います。この1、2年ですと、人気女優を起用した「素材の会社は〜」のAGCが印象的。なんの会社がなんのためにCMしてるか全くわからない。そして自分ですら社名は検索しましたからね。知られていなくてもかなり立派な企業でした。(旧旭硝子でした)

同様に、イベント案件を扱っていると聞いたこともない企業の依頼が大ボリュームで舞い込むことがあります。対企業ビジネスを中心にしているとその筋ではトップ企業でも知名度は高くありません。そんな企業がたくさんあります。

BtoBのなかでもwebサービスを扱う企業はCMでもこの2年一気に増えました。視聴者のプライベート(生活)に向けたCMが減り、ビジネス(仕事)に関するCMが伸びてきた印象。時期的なものもありますが、経理サービスのCMは毎日目にします。たまたま自分がカラーバス効果(ある情報を気にし始めると目につきやすくなる心理的な効果)が働いているだけかもしれませんが。

だいぶ前ですが、クラレの「ミラバケッソ」* なども少々意味不明なCM。アルパカだかが発した言葉が強烈なインパクトです。未だにクラレがなんの会社か分かってませんが、名を広めたのは間違いないと思いますし、現に自分も数年前の意味不明ワードとクラレの社名をスラっと思い出せます。社名を売ることが株価の上昇、受発注の増加、新卒採用の応募数** など多岐に影響があるのかもしれません。

BtoBのCMは「知名度アップ」が中心?「イメージアップ」も捨てがたいですが、知られていない企業が急に増えてきたので、まずは名を売るのにテレビを使う。一部時代に逆らって見えますが、テレビCMという身近な存在は即効性のある劇薬なのでしょう。使い方は気をつけないといけないですけどね。

冒頭でPinterestのCMの話をしていましたが、結論としては「アリ」と落ち着きました。制作会社の気分を害すると申し訳ないですが、ハッキリ書かせてもらうと、ある意味あのダサさはインパクトが強い。しかも、未だにあの曲(ピン♪ ピン♪ ピンタレ〜♪てやつね)が即座に思い出せるのは強烈な印象を残した証拠です。カッコイイだけじゃすぐ忘れちゃいますもんね。CMは最高にカッコイイか、最高にダサイかで市民権を得るのかな。いや、クラレはどうなんだ。

CM制作って深く考えられているようです。ダサイって思っててごめんね。

さじ

(推敲中調べてたら色々出てきたので追記)

*ミラバケッソ:「未来に化ける新素材」から「ミラいにバケる新ソ材」。証券取引所の業種区分を繊維製品から化学へ変更したあたりなのでイメージ脱却の背景があったのかもしれません。アルパカの理由は一説によると「創業の繊維メーカーの象徴」とのことですが真偽は不明です。(企業サイトでの文献は見つけられませんでした。)
<クラレグループ>テレビCM、キーワードは~“ミラバケッソ”~ 女優の成海璃子(なるみりこ)さんをキャラクターに起用 | kuraray
グラフで見る歴史 | kuraray

**新卒採用の応募数:実際にCM効果で増加したようです。
新卒エントリー数が7倍に!アルパカの「クラレちゃん」起用の効果 | 広報会議デジタル版